渡辺航太 医師
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腰椎棘突起縦割式椎弓切除術
腰部脊柱管狭窄症に対する椎弓切除術は、多くの脊椎外科医が愛用してきた最も一般的な手術手技の一つです。その術後成績は、おおむね良好でありましたが、一部の患者さんで、手術中に背中の筋肉を脊椎からはがすことで筋肉が傷ついてしまい、背筋力低下が起きたり、腰痛が残ったりしました。また、棘突起や背骨の靭帯などの背骨を支える組織を手術によって傷めてしまうことによって、術後に脊柱が曲がってしまったり、不安定になってしまうなどの合併症が報告されてきました。そのため、私たちはこれらの組織の温存を図る目的で「腰椎棘突起縦割式椎弓切除術」を施行しております(図1)。本法の利点は、まず、棘突起を縦割して左右に圧排しするため、良好な視野が得られることです。また、本法では棘突起に付着する筋肉や靭帯をはがさないで棘突起を縦割するため、筋肉の損傷が最小限に抑えられる点です。さらに筋肉に分布する神経や血管の損傷を予防することができます。本法の手術後の痛みは従来の方法に比べて少なく、筋肉の損傷も少なく、患者さんにとって有益な方法と考えています。